三男が自閉スペクトラム症と診断されたのは、小学校に入学するちょうど1ヶ月前のことでした。 この日のことを今でもはっきり覚えています。
それまでは、この子はなんとなく長男、次男と違うかな? でも性格が恥ずかしがりなだけかな?と思っていました。
しかし、クリニックで告げられた診断名は「自閉スペクトラム症」。家に帰って必死にパソコンで検索しました。入学までに私がしなければならないことはなんだろう、と必死でした。
ランドセルをなかなか決められなかったのは性格のせいではなく、自閉症の特性だった

もともと三男は大人しくて引っ込み思案な性格でした。 入学前にはランドセルを買いに行きましたが、好きな色を選ぶのにとても時間がかかりました。 何色がいい?と聞いても、なかなか決められない。結局半ば強引に私が黒のランドセルを選んだのでした。
周りの子どもたちは楽しそうにランドセルを選んでいます。
なんでうちの子は好きな色が選べないんだろう……と思いつつも、この頃は、まさか息子が自閉症だとは思ってもみませんでした。
あとからわかったことですが、自閉スペクトラム症(ASD)にみられる特性の一つとして、「選択肢が多いと選ぶことが難しくなる」ことがあります。
保育園の先生から言語の遅れを指摘され、療育をすすめられる
保育園の先生から
保育園の先生息子さん、言葉の発達が少しゆっくりかもしれませんね
と言われたのは、年長の秋のことです。 最初は「家では普通にしゃべってるのに」と半信半疑でしたが、先生が親身に心配してくれているのを感じて、ひとまず提案を受け入れることにしました。



一度、言語聴覚士のいる病院へ行ってみてはどうでしょう?
とすすめられ、近くの病院へ予約の電話を入れました。 でも、なかなか予約が取れなくて、やっと予約がとれたのは12月でした。
保育園の先生の手前、仕方なく予約しましたが、三男に言語聴覚士は必要ないんじゃないの、というのが本心でした。
言語聴覚士の先生に「言語能力は3歳程度」と言われる
12月、初めて言語聴覚士の先生のセッションを受けました。月1回、45分ほどのセッションです。
セッションの中で、先生から「選択肢を減らしてあげると答えやすくなる」と教えてもらう場面がありました。それを聞いて、「もしかして、ランドセルの色を選べなかったのも同じ理由だったのかもしれない」とハッとしたのを覚えています。
そして、セッションの最後に言われたのが、
「息子さんの言語能力は、だいたい3歳くらいのレベルです」
という言葉でした。
当時、三男は6歳でした。その言葉が、しばらく耳から離れませんでした。
(このときのセッションの詳しい様子や、その後の家での試行錯誤については、
[言語聴覚士の療育で「3歳児レベル」と言われた私へ]にくわしく書いています)


恥ずかしがり屋で引っ込み思案な性格だから、先生とコミュニケーションがとれなかっただけではないか。だって家では普通に意思疎通できてるもの。何かの間違いだ。そう思いながらも、気になって仕方がありませんでした。
発達外来の先生に「自閉スペクトラム症」と診断される
その後、3月に発達外来の診察に空きが出たと連絡があり、受診することになりました。発達外来の先生が三男を診てくださいました。簡単なテストをいくつかして、先生はおだやかに、でもはっきりと言いました。
「自閉スペクトラム症です」
頭の中が真っ白になりました。まさか、三男が自閉症?
でも、先生の説明を聞くと、すべて納得がいくのです。
保育園には友達がいない。単に恥ずかしがり屋なのかと思っていました。ランドセルを選ぶときも好きな色が決められない。単なる優柔不断かと思っていたけれど、選ぶことが苦手という自閉症の特性だったんだ。
散髪のときは家族みんなで押さえつけないと髪が切れないくらい嫌がって抵抗する。長男や次男のときにはなかったことでした。
これらが自閉症のせいだと言われたら、たしかに、すべて納得できる。
でも、自閉症って、しゃべらないんじゃないの? うちの子は家族には普通に話しているのに。自閉症のはずがない。そう思う気持ちと、先生の理路整然とした説明との間で、頭の中がぐるぐるしていました。
「これからどうすればいいんだろう」「何をしたらいいんだろう」何も考えられなくて、ただその場に座っていたことを覚えています。
「放課後デイサービスを利用できるよう、受給者証を発行しますね」
先生はその場で、放課後デイサービスを利用できる診断書を発行してくれました。
「自閉スペクトラム症」と書かれた診断書を持って区役所へ行く


家に帰って、真っ先に連絡したのは、近所に住む自閉症児の子をもつママ友でした。



まず区役所の福祉課に行って、受給者証の申請をするといいよ
それから、子どもに合う放課後デイサービスを探して体験にいってみたら?
すぐに区役所へ向かいました。受給者証の手続きを済ませて、近所の放課後デイサービスへも連絡を入れました。「木曜日なら空きがあります」と言ってもらえて、少しだけほっとしました。
何をどうしたらいいのかわからない。 でもとりあえず、私に今できることをしなければ気がおかしくなってしまいそう。
とにかく動こうとしていました。
楽しみなはずの入学式が不安でしかなかった
入学まで残り1ヶ月。不安しかありませんでした。トイレはひとりで行けるだろうか。普通級で入学してしまっていいのだろうか。先生のサポートがなければやっていけないのではないだろうか?学年の途中で特別支援学級への編入なんてできるのだろうか?
普通は入学式といえば、楽しみなイベントだろうに、私にとっては不安しかありませんでした。
あの日の自分に伝えたいこと
あの時は一人でパソコンで自閉症について検索しては一人で泣いていました。
今の私なら、診断を受けた日の自分にこう言うと思います。
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ」
もちろん、困りごとがなくなるわけではありません。悩むことも、迷うこともたくさんあります。でも、あのとき私が想像していたような真っ暗な未来ではありませんでした。
三男は少しずつ成長し、私自身も自閉症について学びながら親として成長していっています。 私たちは明るい未来があると信じて一緒に進んでいます。








