三男が自閉スペクトラム症と診断されたのは、小学校に入学する3週間ほど前のことでした。この日のことを今でもはっきり覚えています。
それまでは、この子はなんとなく長男、次男と違うかな? でも性格が恥ずかしがりなだけかなと思っていました。
しかし、発達外来で受けた診断は「自閉スペクトラム症」。まさかその日まで、わが子が自閉スペクトラム症だとは思っていなかったので、私はパニック状態でした。
まず何をしたらいいのか、よくわからない状態でしたが、とにかく動かなきゃと必死でした。
結論から言うと、診断された後に私がやってよかったことは、この3つです。
- 周りに息子が自閉スペクトラム症だと伝える
- 放課後等デイサービス(放デイ)にまず問い合わせる
- 放デイに期待しすぎない
この記事では、入学直前に自閉スペクトラム症と診断された時のこと、受給者証の申請から放課後等デイサービスに通い始めるまでの流れ、不安な気持ちで迎えた入学式のことをお伝えしたいと思います。
私と同じように、診断を受けてからどうしていいかわからず困っている方の参考になればうれしいです。
ランドセルをなかなか決められなかったのは性格のせいではなく、自閉症の特性だった

もともと三男は大人しくて引っ込み思案な性格でした。入学前にはランドセルを買いに行きましたが、好きな色を選ぶのにとても時間がかかりました。
何色がいい?と聞いても、なかなか決められない。結局半ば強引に私が黒のランドセルを選びました。
周りの子どもたちは楽しそうにランドセルを選んでいます。
なんでうちの子は好きな色が選べないんだろう……と思いつつも、この頃は、まさか息子が自閉症だとは思ってもみませんでした。
あとからわかったことですが、自閉スペクトラム症(ASD)にみられる特性の一つとして、「選択肢が多いと選ぶことが難しくなる」ことがあります。
保育園の先生から言語の遅れを指摘され、療育をすすめられる

保育園の先生から「言葉の発達が少しゆっくりかもしれない」と言われたのは、年長の秋のことです。
最初は「家では普通にしゃべってるのに」と半信半疑でしたが、先生が親身に心配してくれているのを感じて、ひとまず提案を受け入れることにしました。
「言語聴覚士のいる病院へ行ってみてはどうでしょう」とすすめられ、近くの病院へ予約の電話を入れました。でも、なかなか予約が取れなくて、やっと予約がとれたのは12月でした。
保育園の先生の手前、仕方なく予約しましたが、三男に言語聴覚士は必要ないんじゃないの、というのが本心でした。
言語聴覚士の先生に「言語能力は3歳程度」と言われる

12月、初めて言語聴覚士の先生のセッションを受けました。月1回、45分ほどのセッションです。
セッションの中で、先生からこう教えてもらう場面がありました。
言語聴覚士の 先生選択肢を減らしてあげると答えやすくなりますよ
それを聞いて、「もしかして、ランドセルの色を選べなかったのも同じ理由だったのかもしれない」とハッとしたのを覚えています。
そして、セッションの最後に言われたのが、
「息子さんの言語能力は、だいたい3歳くらいのレベルです」
という言葉でした。
当時、三男は5歳でした。その時はショックで呆然としました。
恥ずかしがり屋で引っ込み思案な性格だから、先生とコミュニケーションがとれなかっただけではないか。家では普通に意思疎通できているのに自閉症のはずがない。
何かの間違いだ。そう思いながらも、気になって仕方がありませんでした。
発達外来の先生に「自閉スペクトラム症」と診断される
その後、3月に発達外来の診察に空きが出たと連絡があり、受診することになりました。発達外来の先生が三男を診てくださいました。
積み木を使った簡単なテストをしました。そして、先生は息子の言動を注意深く見ていました。


先生はやさしく、淡々とした口調で説明してくれました。その日に受け取った診断書には「自閉スペクトラム症」と書かれていました。
頭の中が真っ白になりました。まさか、三男が自閉症?
でも、先生の説明を聞くと、すべて納得がいくのです。
保育園には友達がいない。単に恥ずかしがり屋なのかと思っていました。
ランドセルを選ぶときも好きな色が決められない。単なる優柔不断かと思っていたけれど、選ぶことが苦手という自閉症の特性だったんだ。
散髪のときは家族みんなで押さえつけないと髪が切れないくらい嫌がって抵抗する。長男や次男のときにはなかったことでした。自閉症の子には感覚過敏な子が多いそうです。
そして、診察の時に椅子から椅子へぎこちなく移動する息子を見て、先生はこう教えてくれました。



体の使い方が苦手なのも、自閉症の特徴の一つです
これらが自閉症のせいだと言われたら、たしかに、すべて納得できる。
でも、自閉症って、しゃべらないんじゃないの? うちの子は家族には普通に話しているのに。自閉症のはずがない。
そう思う気持ちと、先生の理路整然とした説明で納得している自分との間を行ったり来たりしていました。
自閉症についての知識がなかった私は、もしかしたら息子はADHDではないかと思っていました。なぜなら、卒園式の時に、じっと座っているのが辛そうに見えたからです。
後になって、自閉症には選ぶことが苦手、感覚過敏、運動が苦手といった特性があるのだと知りました。
「でも先生。家でお兄ちゃんとは普通に会話できています」と言いました。
すると、



お兄ちゃんが三男さんの話していることを拾ってくれていたんだと思います
お兄ちゃんが合わせてくれているので、キャッチボールはできていなかったのではないでしょうか?


そう言われたら納得です。三男は自分の言いたいことを言う。それに対して兄たちは返事をしてくれていました。
でも兄たちが話しかけても三男は返事をしてくれませんでした。
そうか、年上の人は三男に合わせて配慮してくれるけど、同い年の子だとコミュニケーションがとれないんだ。だから友達がいなかったんだ。
その時初めて気がつきました。
先生の話を聞きながら、「これからどうすればいいんだろう」「何をしたらいいんだろう」と頭の中で考えていました。
先生はその場で、放課後等デイサービスを利用するための診断書を書いてくれました。
受給者証の申請で持参したもの|わが家の場合


家に帰って、真っ先に連絡したのは、近所に住む、自閉症の子をもつママ友でした。ママ友は驚きながらも、涙ぐんでハグしてくれました。
「まず区役所の福祉課に行って、受給者証の申請をするといいよ」「それから、子どもに合う放課後等デイサービスを探して体験にいってみたら?」
何をどうしたらいいのかわからない。でもとりあえず、私に今できることをしなければ気がおかしくなってしまいそう。とにかく動こうとしていました。
先生に診断されて頭では息子が自閉スペクトラム症だと理解していても、感情がついていっていませんでした。
わが家の場合は、すぐに診断書と保険証を持って区役所へ向かい、「障がい児通所受給者証」(放課後等デイサービスを利用するための受給者証)を申請しました。
窓口では、たくさんの書類を書きました。手続きが完了したら、受給者証ができあがり次第、郵送で届くと伝えられました。
※必要な書類や手続きの流れは、自治体や家庭の状況によって違います。お住まいの市区町村の窓口で確認してください。
診断から放課後等デイサービス利用までの流れ
ママ友に教えてもらった近所の放課後等デイサービスへも連絡を入れました。「木曜日なら空きがあります」と言ってもらえて、少しだけほっとしました。
診断されて、なにをしたらいいかわからない。とりあえず放課後等デイサービスに通わなきゃとその時は思っていました。
診断から放課後等デイサービスに通い始めるまでの、わが家の流れはこうでした。


4月は、入学式に、K式発達検査、放デイの手続きや面接が重なり、毎日がしんどかったです。
受給者証は郵送で届き、4月24日に1か所目の放デイに通い始めた時には使えるようになっていました。
届いた日ははっきり覚えていませんが、診断からおよそ5週間で、放デイに通い始めることができました。


楽しみなはずの入学式が不安でしかなかった


入学まで残り約3週間。不安しかありませんでした。
トイレはひとりで行けるだろうか。普通級で入学してしまっていいのだろうか。
先生のサポートがなければやっていけないのではないだろうか? 学年の途中で特別支援学級へ転籍なんてできるのだろうか?
普通は入学式といえば、楽しみなイベントだろうに、私にとっては不安しかありませんでした。
普通級で入学してから特別支援学級へ転籍したことについては、以下の記事に詳しく書いています。


あの頃、夜は一人で自閉スペクトラム症についてネットで検索ばかりしていました。
わが子は結婚はできるのだろうか? 仕事に就くことも難しいのかもしれない。長男、次男の縁談にも影響があるかもしれない。と悲観していました。
昼間は自分にできることはないかと動きました。
診断後にやってよかった3つのこと
その中でやってよかったことをお伝えしたいです。


1. 周りの人に息子が自閉スペクトラム症だと伝える
最初は周りに伝えるか迷いました。でも結果的に、伝えてよかったことの方が多かったです。
近所の人やママ友に伝えると、「うちの子も発達障害グレーだったから、あなたの気持ちがよくわかる」「うちの子も発達障害で今、放課後等デイサービスに通っている」と数名の人に言われました。
そして「こんな情報があるよ」と、色々アドバイスしてもらえました。
情報は、近所のママさんからが一番有益でした。放課後等デイサービスの情報などを集めるのにネット情報も必要ですが、ネットの情報を見すぎると、不安を煽られることもあります。
ネットの情報は参考レベルにしておいた方がいいと思います。実際の口コミが一番確かです。
地域の行事にも積極的に参加しました。息子が道端で困っていたら、近所の人が気にかけて助けてくれるかもしれません。地域の人に息子のことを認知してもらえるように努めました。


2. 気になっている放課後等デイサービスは、まず問い合わせて体験や面談の予約をする
人気の放デイはすぐに定員がいっぱいになってしまいます。ちょっとでもいいなと思う放デイには、すぐに問い合わせることが大事です。
運がよければすぐ入れますが、キャンセル待ちの場合、数か月かかることもざらです。
子どもによって合う合わないがあるので、とりあえず体験などをしてみるのもいいと思います。行ってみて合わなかったらやめたらいいんです。迷っているならGOです。
3. 放課後等デイサービスに期待しすぎない
今まで3か所通った(今も通っている)放デイは、息子にとって、なくてはならない大切な場所です。
でも、通ってすぐ何か変わったかといえば、劇的に変わったわけではありません。
放デイに通っていれば先生がなんとかしてくれるのでは、と期待しすぎたら、なんだ、あまり変わらないじゃないかと思ってしまうかもしれません。
半年や1年といった長期的な目でみれば、学習面でもコミュニケーション面でも大きく成長しました。療育はすぐに結果が出るものではありません。長い目で見守ることが大切です。
まとめ


振り返ってみれば、それほど心配するほどのことでもなかったのですが、この3週間は、私にとっては怒涛の3週間でした。
診断後にやってよかったことは、次の3つです。
- 周りに伝える(情報はネットより、近所のママ友の口コミが確か)
- 気になる放デイには、すぐ問い合わせる(迷っているならGO)
- 放デイに期待しすぎず、長い目で見守る
そしてもう一つ。不安でたまらなかったこの期間、笑顔でいるように頑張りました。自閉症の子どもを育てた先輩ママさんからのアドバイスでした。
今となってはその言葉が身に沁みます。当時はそんな余裕はありませんでしたが、できるだけ笑顔でいようと努めました。母が不安だと、子どもも不安になってしまいます。
わが子が自閉症と診断された親は冷静ではいられないと思います。でも心配しすぎることはありません。
私の場合、今思えば、心配していたことのほとんどは、心配するほどのことではありませんでした。きっと明るい未来がくると信じています。








