小学校の入学が近づいてくると、「うちの子、ひらがなが全然書けない……」と焦ってしまう方はいらっしゃいませんか。
うちの三男も、年長の夏ごろ、ひらがなの練習で本当に苦労しました。長男・次男のときにはなかった苦労だったので、当時はかなり不安になったのを覚えています。
この記事では、発達障害(自閉スペクトラム症)のある息子が、ひらがなを書けるようになるまでにやった練習方法と、療育で学んでから実践するようになった書字指導の工夫についてお話しします。同じように「うちの子だけ書けない」と悩んでいる方の、少しでも参考になればうれしいです。
兄たちは、苦労した記憶がありません
長男・次男は、ひらがなを覚えるのにそれほど苦労しませんでした。幼稚園で毎週出ていた絵日記の宿題を通して、いつの間にか自然に書けるようになっていた、という感じです。
だから三男のときも、正直あまり心配していませんでした。「そのうち書けるようになるだろう」くらいの気持ちで見ていたと思います。
年長の夏、全然書けなかった


ところが三男は、年長の夏ごろになっても、ひらがながほとんど書けませんでした。
練習に使っていたのは、文字の形をなぞるタイプのワークです。私が一文字ずつ点を書き、三男がその点をつないでいく。それでようやく、かろうじてひらがなの形になる、という状態でした。
一度でできるようになったわけではありません。同じワークを何度も何度も繰り返して、少しずつ形になっていきました。まっすぐ引けなかった線が、少しずつ文字らしくなっていく。その過程は、正直かなり根気のいる作業でした。
長男・次男のときにこうした苦労がなかったぶん、最初は気楽に構えていました。でもある時、「小学校に入ったら、連絡帳を自分で書かなければいけないんだ」ということに気づき、急に危機感を感じました。このままでは入学に間に合わないかもしれない。そう思ってから、練習に力を入れるようになりました。
当時、字がマスからはみ出していても、それほどきっちり直させたりはしていませんでした。とにかく形になればいい、という気持ちで見守っていたと思います。
ぎりぎり間に合った、けれど
何度も練習を重ね、字は汚いなりに、なんとか入学までにひらがなを書けるようになりました。あのときは、本当にほっとしたのを覚えています。
ただ、後から分かった拍子抜けする話があります。入学してしばらくの間、連絡帳は自分で書く必要がなく、プリントされたものを貼るだけでよかったのです。あれほど焦って練習していたのに、実際はそこまで急ぐ必要はなかったんですね。今思えば、力んでいたのは私のほうだったのかもしれません。とはいえ、しばらくしたら、自分で連絡帳を書かなければなりません。あの時、頑張って練習しておいて良かったと思いました。
当時は、ひらがなが書けないことと自閉症を結びつけて考えたことはありませんでした。三男が自閉スペクトラム症だと分かったのは、その後のことです。今振り返ると、自閉症の子どもには不器用な子が多いと言われていて、大いに関係があったのだろうと思っています。
トモニで教わった「書く力を育てる」

その後、療育でお世話になっているトモニ療育センターの教材に、「書く力を育てる」という章があることを知りました。
そこには、自閉症の子への書字指導の考え方が詳しく書かれていました。数字から練習を始める、大きくダイナミックに手を動かす、なぞり書きにこだわらなくていい、全介助から少しずつ手を離していく……いろいろな工夫が紹介されている中で、特に印象に残った一文があります。
「読めない文字やはみ出した文字は消させて、書き直しをさせる」
それまでの私は、はみ出していてもあまり気にせず見ていました。でもこの教え方を知ってから、三男が書いた字がマスからはみ出したときは、私が消して、書き直させるようにしています。厳しくしすぎているのかなと思うこともあるのですが、療育の考え方に沿ってやっていると思うと、自信を持って続けられています。
同時に、小さな成長はきちんと喜んであげることも大切だと書かれていて、これも大事にしています。「はみ出したら消して書き直す」だけでなく、「前より上手に書けたね」と伝えることも、忘れずにいたいです。
今は、漢字を人より練習しています
三男の字は、今もお世辞にもきれいとは言えません。マスからはみ出すことも、まだよくあります。
でも、あれほど書けなかったひらがなは、今ではすっかり定着しました。そして今は、漢字の練習に人一倍取り組んでいます。あの夏、点と点を結んでやっとひらがなを書いていた子が、今は漢字にも向き合えている。それだけで、十分な成長だと感じています。
漢字を練習する上でこころがけていることが一つあります。
『筆順を正しく直す』ことです。これも、トモニの方針です。筆順にはそれなりの理由があります。筆運びは書きやすく合理的にできているので、それを身につけると新しい文字も覚えやすくなるという理由です。
なので、書き順を間違えている時も、やり直しさせています。
まとめ
長男・次男には苦労がなかったぶん、三男がひらがなを書けなかったときは戸惑いました。でも、何度も繰り返し練習することで、少しずつ書けるようになっていきました。
当時は我流で見守るだけでしたが、後から療育で教わった「はみ出したら書き直す」「筆順を正しく直す」というやり方を知り、今はそれを実践しています。知っているとやっていることが、こうしてつながっていく瞬間は、なんだかうれしいものです。
今書けなくても、焦らなくて大丈夫です。わが家の三男も、年長の夏には点をつないでやっと書ける状態でした。それでも繰り返し練習することで、入学までにひらがなが書けるようになり、今では漢字にも挑戦しています。子どもの成長する力を信じて、一歩ずつ積み重ねていけたらと思います。