子どもが散髪を嫌がって、毎回ひと苦労 。
ASD(自閉スペクトラム症)の子どもの中には、散髪を苦手とする子も少なくないと言われています。
そんな悩みを持つ方は、多いのではないでしょうか。うちの三男も、散髪が大嫌いな子どもでした。どれくらい嫌いだったかというと、家族4人がかりでないと髪が切れないほどでした。
そんな息子も7歳になりました。今は2ヶ月に1回、理容室で一人で座って髪を切ってもらっています。私は待合のイスで、終わるのを待っているだけです。
この記事では、ASD(自閉スペクトラム症)の息子が散髪を嫌がっていた5歳のころの話と、床屋さんに通えるようになるまでの話をします。同じように悩んでいる保護者の方の、少しでも参考になればうれしいです。
家族総出で押さえた、日曜夕方の散髪

息子が5歳のころ、散髪は自宅でしていました。私が家庭用の散髪バサミでカットするのですが、これが毎回、大仕事でした。
もっと小さいころは、私と夫の2人でなんとかなっていました。でも5歳にもなると、抵抗する力が強くなってきます。そこで、長男と次男にも手伝ってもらうことにしました。
一人が右手を押さえて、一人が左手を押さえて、夫が体を支える。泣き喚く息子を、私が切る。
「はなせ〜!」
息子はそう叫んでいました。床には新聞紙を敷き詰めて、息子には首の穴を開けたゴミ袋を被せて。家族全員が揃わないとできないので、散髪はいつも日曜の夕方でした。長引くと泣き喚くので、時間はできるだけ短く。
先日、長男と次男に「あのころの散髪、覚えてる?」と聞いてみました。
長男は
長男『切りすぎやって!』って文句言ってたよな〜
次男は



めっちゃ泣いてたことは覚えてるわ
と言っていました。三男は、押さえられて泣き喚きながら全力で抵抗していました。
今となっては笑い話ですが、当時は本当に必死でした。
正直に書くと、泣き叫ぶ子どもを家族で押さえつける時間は、私にとっても辛いものでした。だからできるだけ散髪を引き延ばして、「もうぼちぼち切らないとな」というギリギリの時期に、覚悟を決めて切っていました。
切った後は、すぐお風呂
息子がなぜあんなに散髪を嫌がったのか、本当のところは今も分かりません。
ただ、思い当たることはあります。切った髪の毛が首や顔にちくちく当たるのが、痛かったのかもしれません。散髪の後は、いつもすぐにお風呂に入れて、髪の毛を洗い流していました。
実は息子は今でも、「頭かいかいして」と言って、パパに頭を掻いてもらうのが日課です。頭の感覚が人より敏感なのかもしれません(お医者さんに確認したわけではなく、あくまで私の想像です)。
当時は発達障害の知識がまったくなく、散髪嫌いを自閉症のせいだとは思ってもいませんでした。「そういう子なんだ」と思っていただけでした。
小学校入学、床屋さんデビュー
転機は、小学校に入学したころでした。
私のカットの腕では、どうしても見た目が整いません。入学式の写真を見返すと、息子の髪はやっぱり少しガタガタでした。「さすがにそろそろ、ちゃんとしたところで切ってもらおう」と思ったのです。
連れて行ったのは、次男が通っていた理容室のチェーン店です。
じつは息子は、次男の散髪に何度もついてきていました。だから、お店の雰囲気や、髪を切ってもらう様子は、ずっとそばで見ていたのです。「散髪屋さんがどういう場所か」を知っていたことは、大きかったと思います。
初めてのカットの日は、次男も一緒に行きました。スタッフの方には、事前に息子のことを伝えておきました。
あんなに家で暴れていたのだから、お店でも大変なことになるんじゃないか。そう覚悟していたのですが、意外にも、息子はすんなり座って切ってもらえたのです。迷惑をかけて謝った記憶がないので、本当にすんなりだったのだと思います。
バリカンは4回目から
とはいえ、最初から全部お任せにしたわけではありません。
初めの3回は、バリカンなしで、ハサミだけでカットできるぎりぎりの短さにしてもらいました。バリカンの音や振動を怖がるかもしれないと思ったからです。
4回目から、バリカンも使ってもらいました。心配していたほど怖がることはありませんでした。
このお店は、カットしてくれる人が毎回変わります。「いつもの人じゃないとダメ」ということもなく、誰に切ってもらっても大丈夫でした。そして、カットが終わると、受付の方がハイチュウを2個くれます。息子にとっては、これも小さな楽しみのようです。
今は、待合で待っているだけ


あれから、2ヶ月に1回のペースで通っています。
息子は嫌がるどころか、すんなりお店に入り、一人でイスに座り、じっとカットしてもらっています。私はもう付き添いもせず、待合のイスで終わるのを待っているだけです。
家族総出で押さえつけていたころからは、想像もつかない光景です。
そういえば、息子が小学1年生のころ、テレビの報道特集でこんな話を見ました。散髪が怖い発達障害の子どもたちに寄り添う、京都の美容師さんの特集です。特性を学んで、これまでに6300人以上の子どもたちのカットをしてきたそうです。すごいなと思うと同時に、「散髪で困っていたのは、うちだけじゃなかったんだ」と知りました。
まとめ
振り返ってみて、息子が床屋さんに通えるようになった理由は、3つあると思っています。
① 兄の散髪についていって、場所に慣れていた お店の雰囲気を知っていたことが、初めてのカットのハードルを下げてくれました。
② 少しずつ進めた スタッフの方に事前に伝える。最初はハサミだけ。バリカンは4回目から。急がば回れでした。
③ 何より、本人が成長するタイミングだった 息子は保育園を卒業したあたりから、ぐんと成長しました。散髪ができるようになったのも、ちょうどそのタイミングです。
正直、「もっと早くお店に連れて行けばよかった」とは思いません。もっと早かったら、きっとお店では大人しくできていなかったと思うからです。
今、お子さんの散髪に苦労している方も、その子なりの成長のタイミングが、きっと来ます。うちは5歳で家族総出だった子が、小学生になったらすんなり座れるようになりました。焦らなくて大丈夫です。
親子で一歩ずつ、進んでいきましょう。
実は、卒乳のときも同じように悩んでいました。あのときも、終わりは思っていたよりずっと静かにやってきました。よかったらこちらもどうぞ









