「新版K式発達検査の結果がDQ76だった。これは、実際にはどんな子どもなのだろう」と気になって、この記事にたどり着いた方もいるかもしれません。
私の息子が小学1年生で受けた新版K式発達検査の結果は、全領域DQ76でした。認知・適応はDQ91、言語・社会はDQ67。数字だけを見ても、当時の私には息子の姿がよく分かりませんでした。
検査から1年以上たった今、息子はまだ支援級に在籍し、説明することや助けを求めることには難しさがあります。
一方で、自分で選べることが増え、友達と遊び、学校であったことを自分から話してくれた日もありました。
この記事では、新版K式発達検査の結果を待つ1週間、数字に振り回された私の気持ちと、DQ76という結果が日常の姿とどうつながっていたのか、その後の成長までをお話しします。
これから検査を受けるお子さんがいる方や、結果を聞いたばかりの方の参考になればうれしいです。
- DQ76という結果と、領域ごとの差(DQ91とDQ67)
- 検査結果が、日常の姿や支援級への転籍とどうつながったか
- 検査から1年以上たった今の息子の様子
自閉症の診断直後、勧められて新版K式発達検査を受けた
息子は年長の3月に自閉スペクトラム症と診断されました。そのときの詳しい経緯は、別の記事に書いています。

自閉症と診断されたばかりの私は、これから何をすればよいのか分かりませんでした。医師から新版K式発達検査を勧められ、どのような検査なのかも分からないまま予約をしました。
検査当日、小学1年生になったばかりの息子は、嫌がることなく先生と二人で検査室へ入りました。私は約40分、病院の待合室で待っていました。本を持って行ったと思いますが、落ち着いて読むことはできませんでした。
私は検査室に入っていないため、息子が実際にどのような様子で課題に取り組んでいたのかは分かりません。後から受け取った報告書には、積み木や図形、数を覚えて答える課題などに取り組んだ様子が書かれていました。
検査結果を待つ1週間、DQ30〜40かもしれないと怯えた
検査結果を聞けるのは、1週間後でした。
それまでDQという言葉をほとんど知らなかった私は、DQの数値がどのくらいなら、どのような状態なのか想像がつきませんでした。
息子に知的障害があるのか、IQとは何が違うのか、言葉の遅れは取り戻せるのか。毎日のようにインターネットで検索しました。

当時の私は、「もしかしたらDQ30〜40くらいなのではないか」とまで考えていました。息子が「ふとん」という身近な言葉を知らなかったこともあり、知識のなかった私は、重度の自閉症なのかもしれないと思い込んでいました。

ちょうど小学校へ入学したばかりの時期でもありました。学校で自分からトイレへ行けているのか、45分間椅子に座っていられるのか、体操服に着替えられているのか。息子に学校の様子を聞いても、当時はほとんど説明できませんでした。
私はすっかり食欲をなくし、息子のことばかり考えていました。同じ小学校の先輩の保護者が、私の様子を心配して連絡をくれたこともありました。家事は何とかこなしていましたが、気持ちは検査結果にとらわれていました。
入学直後から支援級へ転籍するまでの詳しい経緯は、こちらの記事に書いています。

新版K式発達検査の結果はDQ76|少しほっとした自分がいた
検査の約1週間後、検査を担当した心理士の先生から結果を聞きました。
全領域はDQ76で、発達年齢は4歳9か月でした。認知・適応はDQ91、言語・社会はDQ67。姿勢・運動は検査の上限に達していたため、発達指数は算出されていませんでした。
DQは、検査で分かった「発達年齢」が、実際の年齢と比べてどのくらいかを表す数字です。
発達年齢 ÷ 実際の年齢 × 100
で計算し、100が年齢どおりの目安になります。
息子の場合、検査を受けたときの年齢は6歳3か月、発達年齢は4歳9か月でした。
4歳9か月(57か月)÷ 6歳3か月(75か月)× 100 ≒ 76 で、全領域のDQ76になります。
新版K式発達検査では、「姿勢・運動」「認知・適応」「言語・社会」の3つの領域ごとにもDQが出ます。全体の数字だけでなく、領域ごとの差を見ることで、得意なことと苦手なことが分かります。
※数字の受け止め方や、支援につなげるときの目安は、検査をした機関や自治体によって違います。気になることは、検査を担当した先生に聞いてみてください。

先生が結果について詳しく説明してくれましたが、私は十分に理解できていませんでした。ただ、「DQ76」という数字を聞いて、少しほっとしたことは覚えています。もっと低い数値かもしれないと思っていたからです。
一方で、実年齢より発達年齢が低いという結果は、きちんと受け止めなければならないとも思いました。言葉で答える課題が苦手だという説明は、普段の息子の様子からも想像していたため、大きな驚きはありませんでした。
先生からは、「何で?」「どうする?」と漠然と聞くより、「Aにする? それともB?」と選択肢を示す方が、息子には答えやすいと教えてもらいました。
しかし、その説明をこれからの生活や療育にどう生かせばよいのか、当時の私にはまだよく分かりませんでした。

その日の夜、帰宅した夫に検査結果を伝えました。夫は私より落ち着いて数字を受け止めていました。ただ、子育てについて気持ちの温度差があったわけではありません。私の話を聞き、これからのことを一緒に考えてくれました。
DQ76の内訳|DQ91とDQ67の差が、息子の日常とつながった
検査結果を聞いた当時は、認知・適応DQ91と言語・社会DQ67の差を、日常生活と結びつけて考えられませんでした。
後になって、視覚から入る情報は得意でも、耳から聞いた一斉指示や説明は入りにくいという息子の姿とつながりました。
日常生活の中で、息子の視覚的な記憶力に驚くことがあります。
神経衰弱をすると、とても強いのです。大人3人と息子の4人で対戦したときは、大人がまったく歯が立たないほど、息子が圧勝しました。カードの位置を覚える力は、大人よりも優れていました。

テレビのdボタンで遊べるオセロや詰将棋も得意です。相手の次の手を考えながら進める姿を見て、すごいなと感心しました。
一方、耳から入る情報を受け取ることの難しさは、学校生活の中で明らかになりました。
入学式の日、先生がクラス全員にトイレへ行くよう声をかけました。後から聞くと、ほかの子どもたちはトイレへ行きましたが、息子は行けていなかったそうです。
一対一の指示なら理解できても、教室全体への一斉指示は、息子には届いていなかったのだと思います。
検査結果に書かれていた得意と苦手の差は、こうした日常の中に表れていました。息子には、耳で聞くだけでなく、目で見て分かる伝え方や個別の声かけが必要なのだと実感しました。
検査結果が支援級への転籍を後押しした

新版K式発達検査の結果を聞いた直後、支援級への転籍について学校と面談をしました。校長先生、支援級の先生、私の3人で話し合い、検査結果の報告書3枚をコピーして持参しました。
検査結果があったから転籍が決まったのかは、はっきり分かりません。それでも、息子の得意なことと苦手なことを学校へ伝える客観的な資料の一つになり、転籍の話はスムーズに進みました。
わが家の場合、新版K式発達検査の結果は、支援級への転籍を考えるための資料として役立ちました。
検査から1年以上|成長したことと今も難しいこと
検査から1年以上たった今、息子の成長を感じる場面が増えました。
保育園では特定の友達はいませんでしたが、小学校では友達ができました。小学2年生の夏休みには、友達の家へ遊びに行き、その約1か月後には、わが家にも遊びに来てもらいました。
どちらも母親同伴でしたが、二人は同じテレビ画面でマインクラフトをしながら、約2時間半、楽しそうに笑っていました。
その後、息子は何度も「また遊びたい」と話しています。

参加している音楽クラブでは、クラスの友達と一緒に歌ったり、楽器を演奏したりしています。曲の合間に友達と話す姿も見られるようになりました。
学校であったことを自分から話してくれた日もありました。
その日は、学校から帰った息子が少しもじもじして、何か言いにくそうにしていました。何だろうと思って待っていると、「今日は友達が休みやった」と話してくれました。理由までは分からなかったようで、「なんでやろうな〜」と言っていました。
私は「どうしたんやろうな。熱が出たんかな」と返しました。息子の方から、学校であったことを報告してくれたのは初めてでした。珍しいなと思うと同時に、少し成長したようでうれしくなりました。

一方で、抽象的な質問に答えたり、体調や困りごとを説明したりすることは、今も苦手です。
先日、息子の体調が悪くなったことがありました。息子は「なんか、ふーっとなる」としか言えず、私もその言葉だけでは状態をくみ取れませんでした。その後、トイレで実際に吐いたことで、気持ちが悪く、吐きそうだったのだと分かりました。
また、学校の連絡帳に書かれていた内容の意味が分からず、息子に聞いたこともありました。しかし、書いた本人も説明できませんでした。普通なら先生に確認できるのかもしれませんが、息子には難しい可能性もあるため、私は先生と保護者でやり取りする連絡ノートを使って確認しました。
できることは増えましたが、今も周囲のサポートが必要です。成長したことと難しいことの両方が、今の息子の姿なのだと思います。
まとめ|DQ76は息子のすべてを表す数字ではなかった
DQやIQは、息子のすべてを表す数字ではありません。数値がいくつであっても、息子が周りの人に愛され、自分らしく幸せに暮らしていけることが一番大切だと思っています。
そう頭では分かっています。それでも、「もう数字は気にしていない」と言えばうそになります。DQが少しでも上がってほしい。先日受けて結果を待っているWISCでも、できることなら100に近い結果が出てほしい。そんな気持ちは、今も私の中にあります。
数字に振り回されたくないと思う気持ちと、少しでも高い数字を願う気持ち。その間を、私は今も行ったり来たりしています。きれいに受け入れられたわけではありません。
ただ、以前とは少し違います。今は数字だけでなく、選べることが増えたこと、友達と笑いながら遊べたこと、学校であった出来事を自分から話してくれたことも、息子の成長として見られるようになりました。
次の検査でも、私はきっと数字を気にすると思います。それでも、その数字だけで息子のこれからを決めつけず、目の前にいる息子の姿を見ていきたいです。