言語聴覚士の療育で「3歳児レベル」と言われた私へ|息子は「ふとん」を知らなかった

    「言語聴覚士 療育」

    そんな言葉で検索したことがある方へ。この記事は、数年前に同じ検索をしていた私が書いています。

    保育園の先生に背中を押される形で、私はようやく、言語聴覚士の先生とのセッションに向き合うことになりました。年長の12月のことです。

    そこで言われた言葉が、今も忘れられません。

    「3歳児レベルです」

    この記事では、そう言われた日と、その後の数日間の話をします。

    目次

    個室で、3枚のカードを見せられて

    先生の個室に、息子と私の3人で入りました。

    検査というほど大げさなものではなく、言葉の理解や表現を見るような簡単な課題でした。3枚のカードを見せられて、質問に答える。それだけです。

    「これは何をしているところ?」

    絵カードを見せられて、息子は少しずつ答えていきました。

    「おとこのこが、バナナをたべてる」 「ママがりょうりをしてる」

    最初は緊張していたものの、少しずつ言葉が出てきます。私はその様子を、ヒヤヒヤしながら見ていました。答えられないのは、初対面の先生に緊張しているからなのか、それとも本当に分からないのか。私にも、たぶん先生にも、その場では判断がつきにくかったと思います。

    「3歳児レベルです」

    セッションが終わり、私は先生に聞きました。

    「どうですか?」

    返ってきたのは、静かなひと言でした。

    言語聴覚士の先生

    3歳児レベルです

    どの部分がどうだったのか、詳しくは聞かされませんでした。その場で正式な検査結果として説明されたわけではなく、そのときの様子からの見立てだったのだと思います。

    でも、その一言だけで、十分すぎるほどショックでした。5歳の息子が、3歳児レベル。2歳も下だなんて、思ってもみませんでした。

    正直に言うと、そのときの私は、まだ心のどこかで思っていました。

    ——恥ずかしいから、先生に話しかけられても答えられないだけだ。

    うちの子は、人見知りで、おとなしい性格なだけ。そう思い込もうとしていたのです。

    「ふとん」を知らなかった夜

    その日の夜、いつものように寝かしつけをしていました。

    ふと、気になって、布団を指さして聞いてみました。

    「これってなんていうか、わかる?」

    5歳の息子は、首をかしげました。

    ——「ふとん」が、わからない。

    毎日使っているものなのに、その名前が息子の中にはまだなかった。その事実が、静かに胸に刺さりました。

    教えなくても、生活の中で自然に覚えているはずの言葉だと思っていました。まさか、知らないなんて。

    その瞬間、頭の中で何かが音を立てて崩れていくような感覚がありました。おとなしい性格のせいだと思い込もうとしていた自分に、逃げ場がなくなった夜でした。

    犬もライオンも、名前が出てこなかった

    それから数日、私は焦っていました。

    家にあった図鑑を引っ張り出して、息子に見せながら聞きまくりました。

    「これ知ってる?」「これの名前は?」

    犬。ライオン。当然知っていると思っていた、ごく身近な動物たち。それなのに、息子はいくつも答えられませんでした。

    愕然としました。「知っていて当然」だと思っていたものが、次々と崩れていく数日間でした。

    何をどうすればいいのか分からず、その頃の私は、チャットAIにまで「子どもの言語レベルを引き上げるにはどうしたらいいか」と聞いていました。今思えば、藁にもすがる思いだったのだと思います。

    月1回のセッションが始まった

    言語聴覚士の先生とのセッションは、病院の都合で、1月、2月、3月と月に1回のペースで組まれることになりました。

    「月に1回で、どれだけ効果があるんだろう」

    正直、そう思いました。でも、他に何ができるわけでもなく、とりあえずお願いすることにしました。

    あの頃の私へ

    「あの頃の私に、何か言ってあげるとしたら」——そう考えて、実は少し困りました。

    あのときの私は、ああするしかなかったと思うからです。

    発達障害についての知識は、まったくありませんでした。何かしなければという焦りだけはあるのに、何をどうすればいいのか、皆目見当がつかない。月に1回のセッションを待つだけでは、不安でたまりませんでした。

    だから、せめて自分にできることをしようと、単語の語彙力を増やそうとしました。図鑑を見せて、聞きまくって。今思えば不器用なやり方だったかもしれません。でも、あの焦りは、間違っていなかったと思います。

    その後、療育施設のトモニに通うようになり、何をどうすればいいのかを具体的に教えてもらえるようになって、私はようやく少し楽になりました。

    もし今、同じように「3歳児レベルです」というような言葉にショックを受けている方がいたら。何をどうしたらいいか分からず、焦って空回りしている方がいたら。

    その焦りは、おかしなものではありません。子どものために、何かせずにいられない気持ちです。

    具体的な方法は、きっとこの先、教えてもらえる場所に出会えます。それまでの間、できることを、できる範囲でやっていけば十分です。

    親子で一歩ずつ、進んでいきましょう。


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